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ひとめワールド
バージョン 2.3
地下階
真っ暗な廊下の突き当たりにはエレベーターがあった。金属製の無骨なドアが非常灯をギラギラ反射して光っていた。私はそれに乗り込み、地下階を目指した。
中に入ると、内側のドアだけガラス張りの部分があって外が見えるようになっていた。ボタンを押すと、エレベーターが下降し始めた。
地下階はかなりの深さにあるようだった。降りても降りても下まで着く気配がない。私は手すりに寄りかかって下階に着くのを待った。
エレベーターの外側の壁しか見えなかったガラス窓越しの景色が不意にひらけた。外は広大な地下空間が広がっていた。赤黒い植物の根のようなものがびっしりと壁に張り巡らされていた。下の方に巨大な穴が空いており、そこから橙色の光が漏れ、地下全体を照らしていた。その様子は、さながら胎内のようだった。
エレベーターは下降を続けた。やがて下の方にコンクリートの建物が見えてきた。壁は黒ずんでいてだいぶ古いようだ。張り巡らされた赤黒いものに半分ほど覆われているようだった。
エレベーターのドアが開くと、再び真っ暗な廊下が続いていた。
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